2015年8月14日18時から行われた、安倍晋三首相による戦後70年談話。
中継と同時にネット上では多くの意見が飛び交いました。
放送のされ方に問題(採点紛いの行為)もあり、それに対する指摘も多々ありましたが、この場では割愛させていただきます。
今回は、戦後70年談話の要約と、それに対するネット上での反応をまとめていきます。
戦後70年談話とは?
戦後70年談話とは第二次世界大戦の敗戦から70年を迎え、政府の公式見解として安倍晋三首相から発表された談話のこと。
談話は2015年8月14日の18時からスタートし、談話の字数は4000字以上となっています。
戦後70年談話のまとめと要約
それでは管理人抜粋の部分を引用しつつ、戦後70年談話のまとめと要約を行っていきます
戦後70年談話
終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
多くの日本国民がテレビ画面を通して見守る中、安倍晋三首相による戦後70年談話はこの一文からスタートしました。
第二次世界大戦敗戦から70年・・・。
見聞でしか知らない私たちは、第二次世界大戦敗戦を受けて、一体どのような思いを抱いてこれからの人生を過ごしていけば良いのでしょうか。
世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。
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中略
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日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。
そして七十年前。日本は、敗戦しました。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
そもそもどうして第二次世界大戦が勃発したのか。
世界恐慌とそれに続いて起こった保護貿易です。
それを始めたのはアメリカとイギリス。
今回の戦後70年談話において、日本国民が最も知っておくべき歴史上の事実だと思います。
とはいいつつ、日本にとって自衛戦争の側面のあったあの戦いも、その実情としては「力の行使による現状打破」があったことは認めざるを得ません。
そして1945年8月6日、9日の原子爆弾投下によって訪れた無条件降伏の時。
6年に渡って続いた第二次世界大戦は、日本の敗戦をもって終結することとなりました。
これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
多くの尊い犠牲があったからこそ、今の日本があります。今の世界があります。
今の平和な日本が、どれほど望まれてようやく手に入ったものであったのかは、決して忘れてはいけないことでしょう。
我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インド ネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と 繁栄のために力を尽くしてきました。
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中略
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私たちは、心に留めなければなりません。
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米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。
そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
日本は今までに何度も繰り返し謝罪を行ってきました。
ただの言葉としての謝罪ではなく、誠意を持って行動としても「平和と繁栄」という形で幾度となく示してきました。
しかしどれだけ態度で示してきたとしても、家族を失った悲しみ、戦時中の苦しみ・辛い記憶は消えることはありません。
それにも関わらず当時敵国として戦っていた国を含む諸外国から、慰霊のために日本に訪れる元捕虜の人々がいるという事実。
あの戦いの当事者ではない私たちは、そんな彼らの行いを「普通のことだ」と思っていいはずがありません。
どれだけの奇跡が、そしてどれだけ大きな人々の思いが積み重なってできたものなのか。
そのことを忘れてはいけません。
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日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
この発言こそが、戦後70年談話の一番のキーポイントではないのでしょうか。
「今まで世代を超えて幾度となく繰り返してきた”謝罪”。当事者ではない日本の子どもたち、そしてその先の新たな世代までもが、果たして”謝罪”という宿命を背負っていくべきなのか」という大きな論点のひとつに終止符を打ちつつあります。
かといって、日本のしてきたことに目を伏せよう、忘れようと言っているわけでもありません。
日本のしてきたことを認め、正しく史実を後世に伝えた上で、大きな宿命をこの世代で断ち切る。
安倍首相の非常に大きな意志が感じ取れます。
我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
世界唯一の戦争被爆国・日本だからこそできること。そして背負うことのできる任。
大局的に見れば、力・武力の行使で”本当の意味で”救われる国なんてどこにもありません。
その事実をどこまで”本当の意味で”諸国へと広げることができるか。
「国際秩序」への「挑戦者」となってしまった日本。
その事実は今から覆るものではありませんし、目を伏せて良いものでもありません。
だからこそその事実を胸に刻み込み、後世へと伝え続け、世界の平和と繁栄に尽力していくべきです。
終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。
引用元 http://www.sankei.com/politics/news/150814/plt1508140016-n1.html
こうして2015年8月14日に行われた戦後70年談話は、幕を閉じたのでした。
戦後70年談話全文はこちら。
戦後70年談話、ネットの反応は?
戦後70年談話ネット反応総括
戦後70年談話が終わってから、ネット上では多くの反応が見られました。
総合的に見ると「とてもいい談話だった」、「安倍首相GJ(グッジョブ)」などという肯定的な意見が非常に多く見受けられます。
肯定的な意見の中で特に焦点となっていたのが、戦後70年談話内に”謝罪”という言葉は登場するも、”謝罪自体”がなかったこと。
そして「次の世代に謝罪の宿命は継がせない」と言い切ったことです。
過去の談話では”反省”と”謝罪”が幾度となく表明され続けており、日本の国民は具体的な理由が不明瞭のまま、その態度を受け入れ続けていました。
しかしその実情を正確に知っている日本国民は、一体どれほどいるのでしょうか。
どうして日本が侵略を行ったのか。
どうして日本が、無謀ともいえる戦いに身を投じたのか
どうして日本は太平洋戦争を繰り広げたのか。
すべてを知り、理解した上でなお「日本は反省と謝罪を繰り返し続けるべきだ」と言える人がどれほどいるでしょうか。
もちろん肯定的な意見がある一方で、批判的な意見も多数あります。
現時点で出ている批判的な意見に共通しているのは、具体的な部分に関する批判ではなく、抽象的な側面への批判だということです。
要するに、「戦後70年談話内で述べられていた〇〇の部分は間違っている」というような意見よりも、「戦後70年談話全体がなんとなくふわふわしている」というような意見が多かったということですね。
それでは実際の反応を見てみましょう。
Twitterの反応
肯定的な意見
戦後70年の首相談話で「あの戦争には何ら関わりのない私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」ってのに激しく同意した、何時まで日本は謝らなきゃいけないの?結局中国と韓国が日本に勝てないから日本が謝罪する事で優越感を得たいだけでしょ
— NOBU@LOVE_KAWASAKI (@NOBU19661210) 2015, 8月 14
私にはとても評価できる戦後70年談話に思えます。この談話が理解できない方々というのは自分が期待していた言葉が聞けなかったからに他ならない気がする。戦時中の事を歴史本から読む限り、ピンポイントで何処かの国の女性だけが被害を被った訳ではない。更に日本が戦争の流れになった理由についても
— poppy(•͈⌔•͈⑅)♡ (@poppy757)
微妙な言い回しの中に、多くの有識者の懸念と努力が反映された談話だったと思う。この談話が生まれた背後に、どれほど多くの方々の願いがあったか。どれほど多くの苦しみがあったか。この日に向けてどのように歴史が動いたのか、良く考えてみよう。この談話がどのような未来を拓くのか良く見て行こう。
— nanajukkolobby (@nanakolobby) 2015, 8月 14
いい談話だったと思う。過去の過ちを反省しつつ、関係諸国と未来志向で反映と発展に寄与し、平和国家としての歩みに静かに誇りを持つ。そして、欧米諸国の植民地政策も悪かったよねと釘をさす。
— ☆ろぃとりー★ (@Loytory) 2015, 8月 14
批判的な意見
やっと読んだ安倍談話。初っ端から日露戦争を肯定的って、これから先も理由つければ戦争やれちゃうようにする目論見があるのか。とにかく誰がどこに向けてるのかわからない文。曖昧にしときたいのかホントに他人事なのか。
— 遠藤妙子 (@TaekoEndo) 2015, 8月 14
談話全文流し読み。印象:女性の人権うんたらは全然出来てないのにわざわざ出さなきゃいいのに。主語がはっきりしない日本語らしさを生かした包括的な謝ってるようで謝ってない文章。 まあ、これ以上突っ込んだ表現にすればどういう表現でもどこかからつっこまれるからこれ以上言いようがないんだけど
— ねこんちゅ (@mizuasagi11) 2015, 8月 14
安倍談話をテレビで見てると、歴代首相のXX年談話の引用紹介にすぎない。過去の日本の首相たちが、10年間隔で同じコメントしてきたが、皆、同じ文言を使っているから、感動も新鮮味もない。中身のない週刊誌記事を吊革広告で煽るのに似て、いざ読んでみたらガッカリという手口だった。
— 柴山哲也(ジャーナリスト) (@shibayama_t) 2015, 8月 14
管理人の所感
ただ批判することは誰でもできることですし、どんな意見に対してもできることです。
ですから批判の際には必ず、代替案を明示するくらいのことはしてほしいものです。
管理人としてはやはり、「謝罪の宿命を断ち切る」という旨の発言に、言葉にできないような凄味を感じました。
正直ここ最近の安倍首相の行動や発言に、結構不安な思いを抱いていたのも事実ですが、今回の戦後70年談話でかなり印象が良くなった感じもします。
・・・と思ってネットを見てみると、同じような意見の人が多かったので、これまた安心でした。
まあもちろん、戦後70年談話の節々を細かく拾っていけば「ん?」と思う部分があったのも事実です。
ですが全体的に見ると「非常に良い戦後70年談話だった」というのが管理人の率直な感想です。
もしよろしければ、戦後70年談話に関するあなたの意見をコメントに残して頂ければ幸いです(*´▽`*)
すべてのコメントに返事をお返しできるとは限りませんが、必ず目は通しますので、ぜひ意見の共有ができたらな・・・と思います。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!
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とてもわかりやすかったです。
僕は今、高校生で 「談話」って難しそう、だから まぁいいや… と思っていましたが、これを読ませてもらって知らないことがたくさんあることに気づき、もっと知る必要があると実感しました。
これからもっと興味をもつようにしようと思いました。
僕は、どちらかというと賛成です。
曖昧と感じる点もありましたが、過去の過ちを国という大きな集団で見つめるということは、世界平和のためにも絶対必要だと思いました。
とても参考になりました。ありがとうございます。 m(_ _)m
コメントありがとうございます!
私も歴史が小さい頃からずっと苦手で、正直「なんで第二次世界大戦が起こったの?」とか「日本はなんで謝罪しているの?」といった疑問に正確に答えられずにいました。
今回「戦後70年談話」の全文をまとめるにあたって、改めて世界で何が起こったのかを確認・理解したことで、ようやくその疑問に答えられるようになったかな・・・、という状態になりました。
でも「参考になりました」という言葉が聞けて、とっても嬉しく思います(*´▽`*)
時間をかけてこの記事を書き上げて良かったです!
よろしければ、またサイトにお越しくださいね!
自分はいま、歴史の課題で70年談話について調べています。
始めはそこまで興味もなく、めんどくさいな思っていましたが、さまざまな意見を知り、もっと深く知りたいと思うようになりました。
自分は安倍首相の「次の世代に謝罪の宿命を背負わせてはならない」という言葉に感動しました。
これこそが首相の一番伝えたかったことなのではないかと思います。
この文章を読んでさらに理解が深まったと思います。
これを参考にしながら、良いレポートが書けるよう頑張ります。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます!
私も「次の世代に謝罪の宿命を背負わせてはならない」という言葉、大変素晴らしい一言だったと思っています。
今まで国民が抱えていたモヤモヤを、払拭してくれたのではないかな・・・とも感じました!
良いレポートになるよう頑張ってください^^
お力になることができれば幸いです。