2014年にバター不足が問題がなり、それ以降バターの値段は上がり続けています。
現在は、前年と比べ6%ほど高くなっており、430円台で高止まり。
そのような現状がある中、「どうしてバターが不足しているのか」をイマイチ理解できていない人は非常に多くいます。
それもそのはず。
バター不足についての正確な情報が、ニュースや新聞などで報道されていないからなのです。
バター不足の原因は?
国・マスコミの見解
「バター不足の原因は、酪農家の減少」と伝えるのは国・マスコミです。
農林水産省の公式ホームページでは、バター不足について以下のように述べています。
平成25年の猛暑の影響で乳牛に乳房炎等が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどにより、生乳(=搾ったままの牛の乳)の生産量が減少したため、バターの生産量が減少し在庫量が大きく減少しました。
バターの在庫量が減少したため、乳業メーカー等は、安定的な供給を続けられるような出荷量に抑制したことや、供給不安等を背景として家庭用バターを中心に購入量が増加したこと等から、店頭のバターが品薄になったものと考えられます。
なるほど、もっともな言い分ですね。
酪農家が減少したのなら、そもそもの乳牛も減少しているので、自然とバターの生産量は減ってしまいます。
ところがですよ?
少し考えてみてください。
酪農家が減って、バターが不足した。
これは分かります。
それでは、バター以外の乳製品は不足していますか?
バター以外の乳製品は不足していない
スーパーなどで買い物をしていれば分かるように、牛乳や生クリーム、チーズなどの乳製品に関しては、不足している気配はありません。
「酪農家が減少してバターが不足している」、というのであれば、バター以外の乳製品全般も不足しているはずです。
ところが現状、当然マスコミに取り上げられてもいませんし、なんら不便なことは起きていません。
これは一体どういうことなのでしょうか。
同じく農林水産省の公式ホームページによれば、
生乳は、非常に腐敗しやすいため、まず最も生鮮性が求められる牛乳や生クリームなどに加工され、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工されてい ます。バターや脱脂粉乳は、生乳が多く生産される時は在庫として積み上げておき、一方、生乳生産が不足する時は、バターや脱脂粉乳の生産を減らす替わりに 在庫を放出するといった需給調整弁の機能を持っています。
このような生産構造となっているため、生乳生産量が減少してくると、バターの生産量が大きく減少することになります。
とのこと。
バター不足の原因はチーズ?
乳製品の取引価格は、次のように定められています。
牛乳用=115円
生クリーム用=75円
バター用=70円
チーズ用=50円
当然酪農家たちは、取引価格の低いものよりも、高いもので取引したがります。
ですから、バターよりも牛乳・生クリームでの取引量の方が多くなっているのです。
酪農家が減った
→乳製品量の全体量自体が減った
→牛乳・生クリームなどの取引が中心で、バターの生産分まで確保できなかった
→バター不足
これならつじつまが合ってきます。
・・・しかし、バターよりも安価で取引されるチーズは、なぜが不足していません。
一体なぜでしょうか?
ここにバター不足の一番の原因が隠されているのです。
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バター不足の真相
日本では、チーズの国内生産量を増やすための「チーズ補助金」という制度があります。
そのために、
バターを生産するよりもチーズを生産した方が多く稼ぐことができる
→バターよりもチーズの生産量が増える
→バター不足に陥ってた
・・・というのが、2014年に起こったバター不足問題の真相なのです。
そしてその動きを促したのは、他でもない国自身。
国自体が「チーズをいっぱい作ってね」と投げかけ、チーズを作らせすぎてしまった結果、「ごめん、バター作れなくなっちゃったわ」と国民に発表したのです。
しかもこの事実自体は公表されていません。
一貫して「酪農家の数が減少したため」としか述べていないのです。
また、次のようなデータがあります。
チーズの関税率は約30%、バターの関税率は約360%。
圧倒的にバターの関税率の方が高く、チーズの関税率の方が低いですね。
チーズの方が容易に輸入で入手することができるのに、なぜか国内では「チーズを大量生産しろ!」という状況に陥っているのです。
まったく、何をしているんだか・・・という感じですよね。
「バターの生産量が圧倒的に足りなくなった」と気づいた国は、2015年の5月に慌ててバターの大量輸入を決断しました。
繰り返しますが、バターの関税率は約360%、チーズは30%です。
・・・ナニガヤリタインダ(-_-)
今後バターは値上げするのか?
2014年ほどの不足にはならない
さて気になるのは、今後のバター不足についてですね。
これ以上値上がりするのか、という点も気になります。
7月23日、次のようなニュースが報道されました。
生乳生産者や乳業メーカーで作る一般社団法人「Jミルク」は23日、2015年度の国内のバターの供給量が需要量を上回る見通しになったと発表した。
Jミルクは「(全国で家庭用バターが品切れ状態になった)14年秋冬のようなバター不足は起きづらい」と予測している。
Jミルクによると、生産量は前年度比2・7%増の6万3300トンで、国家貿易による輸入量1万2800トンと合わせれば、需要量(7万4800トン)を1300トン上回る見通しだ。
引用元 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150723-00050097-yom-bus_all
どうやら、2014年ほどのバター不足には、”数字上”陥らないそうです。
スーパーでの価格は高止まり
しかし、依然としてスーパーなどでの店頭では、バターの品薄感は否めません。
値段も相変わらず430円台と高止まり。
「景気が良くなってきている」と謳っているアベノミクス同様、ほとんどの国民は実感していないようす。
わずかに値下げされる?
品薄感はあるにせよ、数字上はバター不足は回避されているとのことです。
日が経つにつれて、次第にバターの価格も低下していくはず。
もうしばらくの辛抱・・・といったところでしょうか。
まとめ
バター不足の原因は?
・国の言い分「酪農家が減った」
・実際のところ「チーズを作りすぎて、バターが作れなくなった」
・結果、関税率の高いバターを輸入するハメに
バターの価格はどうなるの?
・”数字上”バター不足は回避している様子
・徐々に値下げされると予想
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